キャリアのプロが語る、事業の目的を達成するための自己分析 ~事業のコアを見極める~

高嶌 悠人(MyCareerCenter代表)

2015/01/28

-現在のお仕事内容を教えてください 

私たちは「MyCareerCenter web(マイキャリアセンターウェブ)」というメディアと、「MyCareerCenter(マイキャリアセンター)」といういわゆる就活塾、2つの事業を立ち上げ運営しています。メディアやスクールの運営を通じて、全ての人が納得のいくキャリア選択を行えるよう活動しています。 

-キャリアがキーワードなんですね 

自分自身キャリア選択で悩むことが多かったことが影響しています。初めてキャリアに悩んだのは高校卒業の時です。親が開業医でしたのでその道に進むことを期待されているのを感じていました。一方で、部活動のアイスホッケーでは日本代表にも選ばれましたので実業団に入ることを考えたり、顧問の先生にはアイスホッケーの強い大学を勧められたり、担任の先生には偏差値の高い大学を勧められたりと立場によって勧めてくれる選択肢が全く異なり、当時とても悩みました。結局全ての選択肢を残せる手段として大学進学を選択しました。

就職活動を迎える時には続けてきたアイスホッケーではケガをしてしまい実業団を目指すことは諦めましたが、依然として家業を継ぐことは期待されていました。将来のことを考えた時、父の跡を継ぐことはあまり考えられず、周りの友だちと同じように就職活動をして企業に勤めることに決めました。しかし何をやりたいのかがハッキリしないまま、周りが大企業や外資企業に就職する人が多かったという理由で、内定をもらった広告代理店に流されるように就職を決めました。入社してから自分がやりたいのかがわからないまま働き続けることに違和感を覚え、しっかりと考える時間を持つため退職をしました。

誰しもが平等に、納得のいくキャリアを選択できる

自分の将来・キャリアについて考えた時、思い出されたのが大学体育会のキャリアサポートを受けた体験です。体育会の学生は部活が忙しく就職活動が満足にできないことが多いため、キャリアサポートの仕組みが充実していました。自分にとって非常に幸運だったのが、このプログラムを創設された方が自分のキャリアについてよく相談にのってくれていたことでした。この方との対話を通じて気づかせてもらうことは多く、人との対話がもたらす人生への幸福感を知ることができました。

仕事を辞め、改めて自分の人生を振り返り価値観を見つめた時に残ったのが、「誰しもが平等に、納得のいくキャリアを選択できる」というキーワードでした。自分の人生においてキャリア選択で悩むのが多かったことが、価値観に強く影響していたことを感じました。その中で大学受験の時も就職活動の時も情報を「知らなかった」から選べなかった選択肢が多かったと感じ、必要な情報が手に届かない状況や情報格差をなくす必要があると考えたのです。

-悩み続けたキャリアが実はかけがえのないものだったのですね。

そうです。そこで教育系ベンチャーのガクーという会社に転職し就活生向けの塾運営に携わりました。就活予備校のような場で必要な情報を提供したり、対話の中で学生自身の方向性を見つける手伝いをしたり、具体的な面接対策など幅広い支援を行っていきました。大阪校の立ち上げにも携わったり、本を出版したりと理想を現実にするため様々なことにチャレンジして、より多くの学生に情報を届けることを目指していました。

同じ志を持つ仲間と充実した日々を過ごしていましたが、リアルな塾だとどうしてもアプローチできる学生数に限りがありました。また、私の地元のように情報がほとんどない地域での格差をなくしたいと考えていたものの、学生の多い大都市でなければ学校運営は難しいという厳しい現実にも直面し答えが出せない日々が続きました。そんな時やむなく会社を離れることになり再度自分自身のキャリアついて考える機会がやってきました。

より多くの学生にアプローチするためにはどうしたらいいか、考え抜いた内容を落とし込んだ事業計画書を片手に転職活動を行い、少なくない企業からお誘いをいただきました。中には某大手転職会社にて採用と同時に新規事業の立ち上げの了承もいただいていました。ただそこに入ってしまうと人材会社はお客様が企業になるため「平等に納得のいくキャリア選択」を追求できなくなる可能性があると感じました。純粋に学生にサービスを提供してそこに対して対価をいただく、サービスの向上がそのまま学生に返っていくモデルを追及したいという思いを譲りたくはなかったので最終的に内定辞退をしました。

絶対譲れない部分はどこか

大事にしていたのは絶対譲れない部分、コアはなんなのかを見極めることです。すべてを自前でやることも重要ですが、必ず成し遂げなければならない成果のために他者と組むことも大切です。趣味であれば採算度外視でかまいませんが、ビジネスとして成り立たせるためには資産・時間は有限です。私の場合はアプローチできる人数を最大化するためにメディアを運営するという選択肢を模索し徹底的に動いた結果、webメディアにおいて実績を出していた株式会社イードと提携することで事業をスタートさせることになりました。

昨年末に取り組みはスタートしたばかりですが、これからメディアで情報格差をなくしていき、実践する場として対面で話すスクールを運営する。そうやって、全ての人が納得のいくキャリアを選べるような社会をつくっていきたいです。将来的には同じような志を持つ人たちに教材やノウハウなどをフランチャイズのような形で提供するモデルも考えています。

(編集後記)

就活において独りよがりの考えでは企業はその学生を採用しない。一方で企業に合わせすぎると何がしたいのかわからなくなってしまう。自分の理想と企業のニーズ、社会のニーズが相乗効果を生むような会社選びをしていきたい。高嶌さんのお話を聞いていると就活に自己分析が必要なように、事業にも自己分析がとても重要と感じた。自分の理想を追いながらも独りよがりにならず、顧客や提携企業のニーズとどのように向き合い相乗効果を出していけるのか。高嶌さんの事業推進の軌跡を伺っていると、学生のキャリア相談に真摯に耳を傾ける仕事風景が垣間見えた気がした。

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