EC・通販ビジネスでトップシェア獲得実績70社超のプロが語る、事業必勝法の見つけ方

萱沼 真吾(TRUE CONSULTING 株式会社 代表取締役)

2015/06/24

-まず、前職であるコンサルティング企業時代について教えてください。 

船井総研には、新卒で入社しました。18年以上前ですから、まだ世間にコンサルティング業というものが認知されていなくて、二部上場はしていたものの周囲から「なんでそんな会社に入るんだ」と言われました。現在のコンサルティングは仕組みの中で育っていく感じですが、当時は仕組みも確立していなくて、先輩にくっついていきながら仕事を覚える感じでした。その先輩の担当は食品関係の小売業でしたので、チェーン店やスーパー、ドラッグストアなどを回って、いかに競争相手に勝つかという施策をくり返していました。主に出店の解析判断や商品評価などですね。それで3年ほど過ごしました。

当時のコンサルティング業界というのは徒弟制度のような感じでした。また、先輩と同じ業界ではいつまでも先輩を超えられません。自分で業界を選んで取り組んで、初めて一人前なのです。そこからビジネスを太くしていき、メンバーを増やして大きくしていくのが、当時のコンサルティング業界でした。そして最終的に選んだのが、通販業界でした。まだカタログ通販やテレビ通販が主流で、ウェブは出始めていましたがビジネスとしては成り立たない状況でした。通販業界を選んだのは、マーケットが伸び始めた時期で、これからも伸び続けていくことが確実にわかっていた分野であったこと、またコンサルティングの競合相手が社内外も含めて少なかったためです。

-通販業界におけるコンサルティングのノウハウは、どのように蓄積したのでしょう。

まずは情報収集から始めるのですが、他社も含めてうまくいっているところには普通に話を聞きに行きました。正直に質問するのですが、意外に話し好きの方が多くて、結構いろいろなことを教えてくださるんですね。そうして集めた情報の断片を自分なりに組み合わせていくと、特定のルールというか、形ができてきます。それをどんどん実践していきました。もちろん、初めてやることはクライアントに「初めての施策ですが、他の会社や業界で実績が出ているので試してみませんか?」と正直に言います。

トップシェアがとれるビジネスモデル構築が重要 

私はまったく先を見通して施策を打てるタイプではないのですが、通販業界がどんどん成長しているときは「考えなくても売れる」状況でした。しかし、ある程度マーケットが成熟してくると、つぶれてしまう企業が目立ち始めました。そこで自分で調べたり、経営者の方達と話していくうちに、「トップシェアがとれるビジネスモデル構築」が重要だということが見えてきました。一般的には、シェアが25%を超えるとトップを取れます。でもEコマースでは40%を超えないといけません。トップシェアの企業はより強くなり、それ以外の企業はどんどん減っていくという状況になります。売れる商品があれば、それなりの売上になりますが、それだけでは儲からなくなるタイミングがやってきます。トップシェアでなければ儲からなくなる業界なのです。

Eコマースでは、アマゾンがいい例ですね。アマゾンは潤沢な予算でいろいろなものを狙っています。私が今一番考えていることも、アマゾンと戦ってトップシェアを取ることです。そのためには、アマゾンが扱っていない商品・サービスを狙うということがあります。これが意外に多いんですね。カスタマイズ商品や、プロ仕様の商品、より専門性の高い商品などです。そういった専門性の高いビジネスを構築していかないと、大資本には負けてしまいます。それがひとつのノウハウですね。たとえば、大手Eコマースでは電話での問い合わせをなくすことで人件費を節約していますが、私の施策では積極的に電話を受けます。その結果、売上の3割から4割を電話受注が占めるようになったケースもあります。

電話で受注することで、利益率を上げることができます。カスタマイズ性や専門性の高い商品では、電話の方がお客様も納得してくださるんですね。もちろん、一部上場の企業などはどしどし商品を投入して大きなボリュームで売っていくこともあります。しかし、中小企業の場合は「ここでしかできないもの」を構築すれば、他社はなかなか手を出せません。要するに大手には大手、中小には中小の戦略があるということです。ですから中小の場合は、大手Eコマースの逆の戦略をとります。電話も受けるし、即日配送なんかしません。カスタマイズされたいい商品ですから、時間はかかりますよね。そういった逆張りの戦略が、実はブルーオーシャンなのです。

-いい商品や、会社の良さを見つけるコツはありますか

まずは徹底的にヒアリングをします。そのために何回もクライアントのところに足を運びます。契約までに3~4回は行っていると思います。それと、競合他社についても徹底的に調べます。そこで勝機があるかどうかを判断します。非常にニッチな商品になりますから、商品の個性と企業のバックボーン、競合相手の環境、そしてそのマーケットが伸びているかどうか、それが重要なポイントになります。また当然ですが、同じマーケットで複数の企業のコンサルティングはしません。

10年後、20年後を考えたときに海外に出て行かないとビジネスが続かない危機感

海外に出ようと思った理由は3つあります。ひとつは、日本は人口減の問題があって、今は伸びているマーケットでも今後はわからないということ。2つ目はひとつ目に関連して、国内は先細りになるだろうから海外に出ないといけないということ。3つ目は、私が国内を行き尽くしてしまった行き詰まり感を感じていたことです。そこで中国とタイで展開しています。これはリサーチしたわけではなく、たまたま人とのつながりで決まりました。

Eコマースの会社も、ある程度日本で大きくなった会社は、10年後、20年後を考えたときに海外に出て行かないとビジネスが続かない危機感を持っていて、その意識はウェブをやっているかどうかで大きく違いました。前職でも、私が海外に出て行くと言ったとき、社内で賛同する人はほとんどいませんでした。でも、特に決まりはなかったので、とにかく海外へ出てしまったというのが正直なところです。それが1つのきっかけで退職につながっています。

-独立しようという気持ちは以前からあったのでしょうか

本当は、すぐに辞めるつもりでした。それがたまたま、いい先輩や同僚に恵まれて、クライアントもいい会社ばかりで、楽しくて長続きしました。こんなに長くいたことは、私自身が一番驚きました。待っていれば前職の会社も本格的に海外展開するのでしょうけど、クライアントの現地法人数が増えてきたこと、私の目的として海外のウェブコンサルタントを確立したいということがありました。実際に海外に出て思うのは、結局は人や会社が持っている、歴史や経験、資産といった強みを活かさないと、あまり上手くいかないということです。

Eコマースは、経験がなくてもゼロベースで立ち上げられる「誰にでもできるビジネス」です。参入障壁がないわけです。参入の初期にしっかりとシェアを取れればナンバーワンになれますが、資本力のある大手が参入してくると成功率はぐっと低くなります。海外の新規ビジネスで失敗が多いのは、そこが原因です。でも、私は自分たちの経験や資産をしっかり持って攻め入ることができます。それが立派な参入障壁だと思います。そういう意味で言えば、伸びる市場を探しに行くこと、自社の強み、特徴をどれだけ持っているか。それが他社にとっては参入障壁になる。そこを研究していくことが、非常に大事なポイントです。

ウェブの世界では、国はあまり関係ありません。特にニッチなものを扱っていると、海外からの注文が2割から5割を占めます。そこで世界のシェアを取っていくと、小さいと思っていたマーケットが大きく育って、海外からもアイデアが出てきてビジネス環境がどんどん変わっていきます。事業規模も大きくなる可能性も秘めているわけです。海外は商習慣の違いもありますが、私としてはあまりにも違うという印象はありません。

(編集後記)

ウェブの世界ではトップシェアを取ると、ビジネスがそこに集中し、独り勝ちになるというケースが多い。そこでウェブでのプレイヤーは、よりニッチな分野で他にはないサービスを提供しようとしていく。海外進出もひとつの方法だ。もともとウェブはグローバルなマーケットで、日本にいながら特定の国の商品を売ることはできる。しかし、その国に拠点を置くかどうかで、ブランド力が大きく変わってくる。そして何より大切なのは、人とのつながりであるということを感じた。ビジネス先行ではなく、人とのつながりを重視していくことで、自然になすべきことが見えてくる、あるいは道が開くものなのだ。

トップシェア獲得企業数70社以上!海外チャネルで勝てるEC・通販ビジネスに育てる仕立て人

元船井総合研究所のWEBグループのトップとして、立ち上げ&拡大を行う。また、個人でもトップコンサルタントとして社内NO1の実績を持つ(2015年1月末退職)。コンサルティングの特徴は、クライアント様の長所を最大限に生かし、その分野の商品・サービスでシェアNO1の規模、海外チャネルで勝てるEC・通販ビジネスに成長させること。 トップシェアになったクライアント企業数は、70以上あり、累計800件以上のコンサルティング案件を経験している。現在はコンサルティングの他に海外進出、WEB運営代行などの企業を立ち上げている。

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