チームのモチベーションを上げながら、事業の大改革を。人が能動的に動き出す事業創り。

久野 雅之(ビジネスファシリテーター)

2015/09/24

市場創り、仕組み創り、チーム創り、3つのメソッドを使った事業創りを得意としている久野氏。手法やノウハウの提供だけではなく、確実に事業を高収益体質に育ててきた。「事業は人」だと語る久野氏に、事業創りの秘訣を聞いた。

今ある市場から奪うのではなく、ユーザーに対しての新しい価値を生むこと

事業を創る際に、一番大事なのは市場を創っていくという信念だと考えています。今ある市場から奪うのではなく、ユーザーに対しての新しい価値を生むことが必要。価値創造を意識し、ブレずに事業を設計していくことが肝心です。そして、設計した事業を実現させる仕組みと、事業を継続的に成長させられるチームを創ってきた経験から、どの場面でも通用すると確信を持っています。机上のコンサルティングをしても、実行するチームがいなければ事業は育たない。「事業は人」です。指示されて動いていた人が、楽しみながら、能動的に働けるチームを創ってきました。

−今のコンサルティングスタイルに至った経験を教えてください

13年前2001年頃、マインマートという酒量販店で副社長として事業再生に取り組みました。酒量販店の売上の多くを支えるのは、ビールです。しかし、酒販免許解禁の時期で、業界全体が価格競争に陥っており、重いビールをワンケース売っても利益が数十円という状態でした。

そこでまず社員に問いかけました。「あなたの仕事は何ですか」と。社員は、「お酒を売ることです」と答えたのですが、そうではないよと伝えました。お客様が喜んでくれたことを振り返り、我々に求められているのは安いお酒ではなく、お酒をお得に買えたという体験だということを、社員は気付いてくれました。そこから、モノではなくコトを売ろうよと意識改革をしていきました。一例で言うと、利益率が高いワインを重点的に売りましたね。ワインは、種類が多いので、チョイスで他店と差別化しやすい。ポップを書いたり、目立つ位置に置いたりと、簡単な工夫でしたが、効果はテキメン。さらに社員のやる気もあがりましたよ。利益は上がっていくのに、重いビールケースを運ぶ回数が減るのですから。

−なぜ能動的に動けたのでしょうか?

現場に考えさせたからです。私が指示するのではなく、顧客が求めるものを徹底的に考えさせた。そうすれば、事業目標が、全員が納得できるものになり、人が動き出す。いわゆる腹落ちですね。

−自分たちで気付かせると組織が動き出すのですね

はい、やるべきことが明確でないと、どうしてもモチベーションが上がりませんよね。目的、目標がきちんと自分ゴトで納得できないと、人は最大限の力を発揮できません。過去最大で700人弱のマネジメントをしていましたが、さすがに全員に目が届かない。ですので、どのレイヤーでも、全員が目指すものを理解出来るよう心がけました。ブレイクダウン発想と呼んでいるのですが、達成状態をイメージして、その過程までの目標を分解します。なるべく細かく分解し、その小さなハードルをどんどんクリアしていくと、最後には必ず設定以上の結果がでる。一人ひとりの成功体験が、事業全体の成功を呼んで行くのです。

−成功状態から逆算するコツはありますか?

例えば、話すときに、結論から話すことを心がけるよう徹底します。結論を先に意識するその習慣は、ゴールを先に意識するのと同じこと。結論を意識することは、成功状態のイメージに繋がります。型を徹底させると、中身は自ずと変わっていく。その他にも、私案なき質問はしない、代案なき否定はしない、など、ゴールを意識させる思考を徹底させ、浸透させていきました。

−すぐに全体に浸透しますか?

全体をすぐに動かすのは難しいので、酒量販店では、一番売上の悪い、いわばお荷物の店で最初に改善に取り組みました。そうすると、自然と他の店が変わりだすのです。今まで最下位争いをしていた店舗の利益率がぐんぐん上がっているので気にせざるを得ないですよね。そこでさらに、他店舗の良い所を共有し合う仕組みを創り、優秀メンバーのMVPの表彰をしました。優秀なパートさんの名前が有名になるほど、ボトムアップのムードが浸透しました。全体に浸透させるには、仕組みを創ることが大事なのです。

EC業界では買う心理のみ見ていることが多い。それだと気づけないことがある。

−その後の、ECに関わった経緯を教えてください。

株式会社JIMOSという会社で、取締役兼ECの責任者として、紙カタログ経由の売上をECにシフトさせる取り組みをしました。市場創り、仕組み創り、チーム創り、同じ3つのメソッドを使い。ネット売上の構成比率を5%から15%に高めました。

−リアルとネットの違いはありましたか?

買わない人の顔が見えないことが大きな違いです。リアル店舗では、買わなかったお客様の事を徹底的に考える。なぜ商品に足を止めてもらえなかったのか。なぜポップを読んだのに買わなかったのか、目の前で見えるので、買わない理由を考え、改善します。しかし、ネットでは、買わなかった人のデータが拾えない。消費には「買う心理」と「買わない心理」の2つしかないのに、EC業界では買う心理のみ見ていることが多い。それだと気づけないことがあります。リアルなお客様の声と、買わないお客様の心理をずっと見てきたことが自分の強みですね。

−現在もECをメインとされているのですか?

はい、今は、さらに越境ECの事業にも取り組んでいます。EC参入など、事業改革を目指す企業様には、特に、過去培った私のメソッドが活かせると考えています。

顧客の課題を浮き彫りにし解決へ導く、EC事業の成長請負人

事業の本質を的確に捉え、顧客に対する『価値創造』を行うビジネスファシリテーターです。大企業から中堅、ベンチャー等、多種多様な業界で新規事業開発や事業の統合や再生を数多く経験し、豊富な成功と失敗の経験を積み重ね、またそれらを組織やチームを有効に機能させる事で行って来た事から、ヒト造りを伴った事業の構造化と組織造りの両名から実現します。

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