大きな組織こそ重要!新規事業の芽の出し方と育て方 ~新卒2年目で新規事業を成功させた~

古屋 龍生(株式会社ガーブー 取締役/事業創造プロデューサー)

2014/10/01

絶好調だったモバイル広告

- mixiで様々な新規事業立ち上げに関わられた古屋さんですが、入社当初はどのようなことに携わられていましたか?

僕が入社した2010年当時、mixiはモバイル広告が絶好調でした。モバイル広告を日本一売り上げているという時期もあり、僕も入社当初は広告営業として代理店さんに広告枠やタイアップを売っていました。売上の8割、9割を広告が占めていた時代です。とにかく案件量が膨大でしたからどちらかというと、企画を組み立てるというよりもどうオペレーショナルに回せるかが求められます。

そうこうやっていると2年目のタイミングで大きなきっかけがありました。当時mixi内でも既存事業以外の拡大を図っていまして、特にマーケティング分野で新たな柱を作っていこうという動きがあったんですね。いわゆる新規事業部ですね。案件が多くリソースが足りなかったのでアサインされました。個人的には、SNS『mixi』のサービス自体はもちろん、企業としての成長フェイズに興味があり入社した経緯がありまして。当然、新規事業に携わりたいという思いも強かったので、これは本当に幸運だったなと思います。

- 新規事業部ではどんなことをされていたのですか?

他社さんとジョイントベンチャーを立ち上げたり、海外ツールを国内向けにローカライズしたり、あとは内製での新規事業の組み立てをやったりなのですが、当初メインでやっていたのは他社とのアライアンス事業で、mixi内で流通しているmixiポイントをリワード広告で獲得する、という座組みのものです。

さて新しいサービスを作っていくぞ、というところで担当は直属の上司と僕の二人。しかも上司もいくつもの案件を掛け持ちしており、対社内の調整というか実現する役割は、幅広く自分に任せて頂きました。もちろん、やったことのないことだらけ。ましてや新卒2年目。考えるというよりは、常に手足を動かして少しでも前に進めようと意識しておりました。ということで社内の様々な部署に掛け合うのですが、多くの企業と同様、他社とのアライアンス事業の先例が多かったわけではないので、周囲にはあまり期待されていなかったように思います。おまけに右肩上がりで成長していく課金額の中で、リワード広告にはちょっとネガティブなイメージもあったようで。けっこうこの社内調整は骨が折れました。

自分の役割を定義づけない

その後、嬉しいことに利益を出せるくらいの事業に育ったこともあり、新規事業立ち上げ担当のような感じで、いろんな事業を同時に見る機会が次第に増えていきました。特殊な案件でいくと、これはちょっと新規事業からは外れるのですが、災害時のSNS利用に関する検討会なんてのもありました。ちょうど入社1年目のタイミングで東日本大震災が起きたんですけど、家に帰れなくて。エンジニアの方々を見ると、mixi上で安否確認ができる機能を作っていたんですね。僕は何もできなかったんですけど、素晴らしいなと思って。ただ、時がたつにつれてどうしても震災関連の取り組みが薄まっていく。それで、いろんな方に災害関連の取り組みをやったほうがよいのでは、と申し出たところ、やる人いないからやってみて、と返されて。気づけば業界内各社の、しかもかなり立場の高い方々が集まっていらっしゃる検討会の中に新卒3年目がポツン、という状態でした(笑)。

- 本当にいろんなことをされていますね(笑)。

そういう意味では、あまり自分を何の役割だ、とそこまで定義しないようにしていますね。自分のことを営業と思ったら、必ず営業の目線が強くなってしまいます。新規事業でもそうです。新しいものを作らなきゃ、というところだけに捕われてしまうのはあまりよくないかなと考えています。入社以降、期初に立てるコミットメント(評価軸)を意識して働いたことがありません。

新規事業を実現する2つのポイント

新規事業って立ち上げる際はリソースが少ない場合が多いですし、まだ社内にないものを作ることになるので、往々にして頓挫しがちです。僕もいままでいくつもの新規事業に携わってきましたが、実現しなかったもののほうが断然多いです。その中には後に他社でサービス化されているようなものもあったりして。いま思えば、なんでもっとガツガツ推進できなかったんだろう、と思うようなサービスもありますね。

- 新規事業を実現する上で大切なことは何でしょう?

いろんな要素があると思いますが、重要視していることが2つあります。ひとつはまず、初っ端のところの芽を潰さないこと。社内でも社外との打ち合わせでもそうなんですが、話だけで終わってしまうことってけっこうありますよね。ブレスト中に「このアイデアいいね」と概論は全員賛成でも、そのまま何となく消えていく。どうでもいいアイデアだったらいいんですけど、消えちゃダメなものもあるわけです。

いろんなやり方はあると思いますが、僕の場合はフィードバックをもらって次のアクションを明確にするために、相談時の資料化を意識していました。資料を用いて、MTGもしくはメールで送ります。そうすると、良くも悪くもフィードバックがもらえるので少しでも次に進む感じがします。相手が社外の場合は、こちらの本気度も目に見える形で伝わりますしね。

2つ目は、小規模の会社であればあまり必要ないかもしれませんが、社内調整の大切さですね。地味なんですけど本当に大事でしかもサービスローンチまでずっと続きますよね。当然、足止めを食うこともよくあります。新規事業を推進している部署は自分のところひとつかもしれませんが、その内容ってものすごく横断的なので各所との膨大な調整が必要です。その際に関係各所を「関所」だとか「チェック機関」と捉えてしまうとよくないですね。会議に呼んで、道筋作りながらもなるべく相手から意見を出してもらう。そうすると一緒に事業を作っている感覚になってきて、少しずつみなさんが協力してくれるようになります。新しいことをコソコソやっている人は白い目で見られるので(笑)、とにかくコミュニケーションをたくさん取ることが大切だと思います。

関連しますが、法務や経理などのメンバーとスムーズに仕事をやれると、新規事業の組み立てもずいぶん早くなります。こういう機会がない限り、そこまで大きく関わることはあまりないので余計に重要ですね。この2点、常に心がけると企画の種と成長のスピードがけっこう変わってくると、いま振り返ると思います。

(編集後記)

新規事業に関わることは、自社の風土を再確認するタイミングでもあります。自由にやらせてもらえるか、リスクがあっても背中を押してくれるか、他部署の社員はどう接してくるか。そしてこれらは一朝一夕では変わりません。徐々に変えていく必要がありますし、そうやって作ってった新規事業の成功は、会社の雰囲気を一変することができるくらいの力を持っています。新規事業部で閉じこもっての新規事業ではなく、全社的な視点での新規事業。これを継続的にできる姿勢が大切だなと感じました。

mixiのソーシャルマーケティングで、次世代スピードの新規事業を

2010年、株式会社ミクシィに新卒として入社。メディアビジネス部門にて国内No.1のモバイル広告売上を経験した後、複数の新規事業やアライアンス業務を担当。「なんでも自分でやってみる」をモットーに、業務推進力に強みを持つ。ミクシィグループの最年少部長記録を塗り替え、2014年3月に卒業。同年8月に株式会社ガーブーを立ち上げ、企業の新規事業推進支援や自社サービスの開発を行う。

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