立ち上げた3つのメディアは全て成功! ~事業を成功に導く「適創適所」のススメ~

粟飯原 理咲(アイランド株式会社 代表取締役社長)

2014/10/16

「入社当初は、実は落ちこぼれだったんです(笑)。」

まずはNTTに新卒入社として入りました。まだ東西に分割される前ですね。NTTに入社した当初、けっこう落ちこぼれだったんです(笑)。インターネットサービスをやりたいと志願して配属されたところが、電子マネーの開発やECのマーケティングをやっていたりしている部署。いま思うと本当に最先端のことをやっている部署だったのですが、私自身システムの知識なんてさっぱり持ち合わせいなかったので、入社早々私って何が出来るんだろう……と落ち込んでしまいました。

そこでとある方のアドバイスをきっかけに始めたのが消費者の声を集めるという活動です。ECの分野でどんなニーズがあるんだろうって。これだったら自分にも集められるなと。いろんなところを回って、一人ひとりに声をかけて、300人くらいのメンバーを集めてメーリングリストを作って、これはシステムに詳しい先輩が作ってもらったんですけど(笑)。それで「LIFE」というECをテーマにした非営利で第三者的の立場の女性のマーケティンググループを作ったんです。それまでは何も分かっていない新卒の女の子に見られていたと思うんですけど、会議で「300人くらいに聞いてみたんですけど……」と話すと、全然意見の通り方が違うんですね。ちなみに、LIFEはメディアでもけっこう話題になっていろんなところから取材をいただいたりもしました。

その後実績は積み上げていくのですが、次第にコンテンツの仕事をしたい気持ちが強くなっていきました。実は仕事とは別に、個人でインターネットサービスを考えては作っていたんですね。例えば、ちょっとした口コミメディアの走りのようなものなのですが、OL仲間と食べ歩きのメルマガを作りました。その後、書籍にもなったんです。そんな感じでコンテンツへの興味が高まり、リクルートに転職します。そこで新規事業として立ち上がっていたのが現在のオールアバウト。そこにジョインさせていただけることになって、3年ほどどっぷりウェブメディア、コンテンツの業務に携わります。

『おとりよせネット』ありきだった独立

- その後、独立してアイランドを立ちあげられますが、きっかけは何ですか?

実は独立したい、という強い意志はなかったんです。どちらかというと、いま弊社のメディアで『おとりよせネット』というものがあるんですが、これを作りたかったんですね。NTTにいた頃にECに携わっていたこともあって、せっかくいい商品があるのに埋もれてしまってもったいないな、という課題意識はありました。ただ、当時はまだ「お取り寄せ」という言葉も一般的じゃなかったので、提案しようにも難しい。それに市場の規模が企業のスケールとまるで合わないですよね。ただ、この構想は何としても実現したかった。それで独立した、というのが正しい流れになります。

- 思い切りましたね(笑)。

そうなんです(笑)。メインで働いているのは私一人。あとは週末に手伝ってくれるメンバーが数名です。経費削減のため、オフィスもありませんでした。当時、恵比寿にモスバーガーがあったんですけどそこに入り浸っていましたね。当時はそんな言葉全くありませんでしたけど、いまで言うとノマドワーカーです。おとりよせネットも、モスバーガーでリリースされました(笑)。

おとりよせネットの特徴としては、ユーザー体験としてはECに近いんですけど実はカート機能を持っていないんです。役割としてはどちらかというと良いものを伝えるメディアとしての役割が主ですね。ショップをやりたいというよりは、いいショップさんを伝えるお取り寄せの目利きメディアを作りたかったんです。なので、けっこう表現にはこだわっているというか「大げさに言わない、煽らない」というところは徹底しています。例えば編集担当が経験値として自信をもって言えなければ「大絶賛」とか書かないとか。煽ったほうがPVは来るんでしょうけど、ファンには離れてほしくなので入口と出口のギャップを作りたくないんですよね。その後はおとりよせネットを育てていきつつ、「レシピブログ」と「朝時間.jp」を立ち上げました。

- それぞれの立ち上げの経緯を伺ってもよろしいですか?

今もそうなんですけど、料理ブログが大好きなんですね。それで当時もいろいろ見ていたんですけど、それぞれのブログに行くのが大変になってきて。それで、更新情報が一箇所に集まっている場があればいいのになあと思って始めたのがレシピブログです。最近では社内にキッチンスタジオも作りまして、ここでは全媒体で年間100回以上のイベントが行われています。ユーザーの方はもちろん、クライアント様にもいろいろイベントを手伝ってもらっていて。リアルの場で実際に顔を見て話せるのは、何よりもサービス価値の向上に役立てられますね。

朝時間.jpはこれまた自分の話になってしまうのですが、朝けっこう早起きなんです。それで単純に朝の時間って素敵だなと思って、いろんな使い方を提案したくてこのサイトを立ち上げました。立ち上げてみるといろんなところから反響がありました。よくよく考えてみると、朝時間っていろんな分野につながるんですよね。睡眠はもちろん、朝のスキンケアだったり、ビジネスにも関係してきます。いろんなクライアントさんともお話できるので、会社の幅を広げるような役割をしてくれていますね。

どんなアイデアにも生きる場所がある

- メディアを続けていく、ということは大変だと思うのですが長生きするメディアの秘訣はありますか?

3つ意識しているんですけど、まずは「適創適所」という考え方ですね。どんなアイデアにもそれぞれ生きる場所があると思うんです。よく事業を考える際によくぶつかるのが「すごくいい企画だけど、これウチでやる必要性はあるの?」という話。いかに企画を「このサービスこそ、ウチでやるべきか」というところまで煮詰められるか。おそらく、おとりよせネットをリクルート内で立ち上げていてもうまくいくイメージはあんまり湧かないですよね。逆にホットペッパーのようなサービスを弊社でやってもなかなか厳しいです。スケールが違いすぎるので。

2つ目は、企画のそもそもが自分たちの欲しいものなのかどうかですね。モチベーションに直結してつながってくるところなのですが、ここがしっかりしているとブレにくくなりますし、サービスのクオリティが上がります。極端な話、仮に収益化がなかなかできなかったとしてもある程度は粘れます。短期で芽吹かない事業もあると思うので、ここは大事じゃないかなと。

3つ目は小さな会社をやってきた父からの受け売りなのですが、「自分がすごくいいなというものを提供して、自分が思うより少し安い値段で提供すればビジネスってずっとうまくいくよ」というのがあるんです。きっとメディア以外にも通ずる話なんだとは思いますが、これはわりと実感するところが多いですね。自己資本じゃないと、なかなかできないところかもしれませんが。

自社に合ったビジネスで、しかもそこに対して社員のコミットもある。そこまで固まればあとは方法論ですよね。ユーザーをしっかり見続けて、求められるものを作りこんでいくだけだと思います。

(編集後記)

5人を支えるビジネスモデルと、5万人を支えるビジネスモデルは大きく異なります。今回のお話の中で上がってきた「適創適所」はまさにこの話。企業とビジネスのスケール感やアセットがどれくらいマッチしているか、ここがズレてくると、粟飯原さんが仰るとおりうまくいきっこない。ヨソでうまくいっているビジネスが自社でうまくいくとは限らない。逆に言うと、ヨソでうまくいかなかったビジネスが、自社ではハマるかもしれない。新規事業を考える上で、この発想の転換はブレイクスルーのきっかけになるかもしれません。

 

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